４月７日・笠松競馬場
第２７回アラブチャンピオン賞
観戦レポート

　アラブチャンピオン賞はアラブ系古馬によるハンデ戦で、距離は１９００ｍ、名古屋からの遠征馬１頭を加えた１０頭フルゲートで行なわれた｡当日の天候は晴れ、馬場状態は良馬場であったが、１昨日の雨の影響からか馬場は適度な湿り気を帯びているように見えた｡ハンデ戦だけに出走各馬の斤量が気になるところだが、普段とは逆の意味ですごい事になっていた｡

　トップハンデを背負うのは８番フジノテイオーで、なんと５３．５キロ。最も軽いハンデを背負うのは同枠の７番ホマレメガミで４７キロ。つまり、まれに見る軽量戦となってしまったのだ。おそらくは、登録のあった女傑・マルタカフレンズのハンデが５７キロだった影響だと思われる。おかげで、馬ではなく人にとっての「酷量戦」となってしまった。４７キロで騎乗しなければならないホマレメガミ鞍上、川原正一騎手の体調が気になるところである｡

ブラウンダンディ
（ブラウンダンディ。向かって右側に居るのが国光調教師）

　人気は名古屋からただ一頭の遠征馬、ブラウンダンディに集中した｡現在６連勝中で、その中にはSP1の名古屋杯も含まれる強力な昇り馬。ハンデも５０キロと恵まれて、頭は鉄板に思われる。一方で、相手は大混戦で、上山から移籍して４戦、前走で準重賞を制したミカワチャンピオン（５３キロ）や、唯一の逃げ馬で展開面で有利、しかもアンカツが乗るトライハートキング（５３キロ）、Ｃ・Ｂ級条件戦を連勝し格上挑戦してきた最軽量馬ホマレメガミ（４７キロ）、正月のアラブギフ大賞典２着、準重賞勝ちもあるフジノテイオー（５３．５キロ）などをヒモにした組み合わせが人気していた｡

　パドックではさほど目立つ馬は見受けられなかったが、（もっとも私の目はフシ穴だが）ブラウンダンディのデキに関しては文句はなかった。ミカワチャンピオンもまずまず、トライハートキングは馬体が黒光して見栄えは良かったが、こういう毛色の馬は天気がいいと良く見えるので過信はできない｡とはいうものの、好感はもてた。返し馬も各馬まあまあで、変な素振りを見せる馬は有力どころでは見られなかった｡ちょっと観察不足かもしれない｡反省。

一周目ホーム


　レースは定刻の１５時３５分ごろ発走を迎えた｡スタートはほぼ一線で、５番トライハートキングがダッシュよく飛び出してハナを奪う。さすが安藤勝巳騎手、スタートを見事に決めた｡そのまま後続を離して単騎逃げの形に持ち込んだ。離れてホマレメガミ、フジノテイオーの７枠両馬が続き、注目のブラウンダンディは中団の外を追走する。ミカワチャンピオンは一番後ろで、正面のスタンド前を通過していった｡

最後の直線


　向こう正面に入っても隊列は崩れず、完全にトライハートキングのペースであった。だが、４コーナーに入ると一気に前との間隔が詰まった｡あっという間にトライハートキングは飲み込まれ、ブラウンダンディが追い出しにかかる。だが、内から一頭同じように伸びてくる馬がいた。４７キロ、ホマレメガミである。ブラウンダンディにぴったりくっ付いてくるかのように脚色が衰えない。だが、ブラウンダンディの脚色はそれを上回っていた｡ゴール前「ブラウンダンディ、ゴールイン」の実況音声が耳に入る。２７回目のアラブチャンピオン賞は名古屋のブラウンダンディの完勝で幕を閉じたのだった｡

ゴール前。


　なお、勝ち時計は２分６秒フラット。例年３秒から４秒台での決着で、新聞の想定タイムも５秒フラットで、この日はだいたい新聞の想定タイムと同じか、早めのタイムでのレースが多かったことから、時計的にはあまり誉められない。斤量も軽かったので、ブラウンダンディの実力を評価する上ではあまり参考にならないレースかもしれない。注目は、５月の名古屋杯という事になるだろうか。（もちろん、出走すればの話だが）結果の補足だが、２着はホマレメガミ、３着には逃げたトライハートキングが踏ん張っていた｡上位２頭以外は抜かせなかったのだから、これはこれで立派かもしれない｡

記念撮影

　SP1レース恒例の本馬場での記念撮影の後、小さな表彰台で表彰式が行われた｡それにしても、笠松の欠点は勝利騎手インタビューがないという事。一応、統一グレードレースではやっているようだが、他のレースではやっていないので、何か表彰式があっさりしすぎている印象を受ける。兵庫に比べ「重賞」に対しての魅力が感じられない一つの原因かもしれない｡ところで笠松でも表彰式の後、関係者に贈呈された花束をファンにふるまうという慣習？があるが、今回は関係者がそのまま花束を持っていってしまった｡花束をもらおうと待ち構えていたファンから「今日は花束くれへんの？」という呼びかけに、ブランダンディの管理調教師、国光先生は花束を掲げ、笑顔で「また今度！」とナイスな一言。そんな風にさわやかに言われては、こっちも苦笑するしかない。ともかくメインは終わり、見事にアラブチャンピオン賞３年連続ヤラレの私はすごすごと家路につくのであった。あ〜あ。


おまけ・笠松競馬場・今回の注目事

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