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ラヴラヴアラブ特別の興奮も冷めやらぬ中、お次はメインレースの「荒鷲賞」である。今年の高知三冠路線は、昨年の２歳チャンピオン・プレシャスボーイを中心に展開してきた。年が明けても同年の馬を寄せ付けないプレシャスボーイに、一冠目のマンペイ記念はまず大丈夫だろうと思っていたら、なんとチュウオーブラックに足元をすくわれて２着。福山の瀬戸内賞へ遠征し入着を果たすと、帰ってきての二冠目「南国優駿」ではきっちりと力の差を見せ付け、チュウオーブラックに５馬身の差をつけて優勝した。この圧勝で今年の３歳のトップがプレシャスボーイであることを周囲に印象付け、荒鷲賞もプレシャスボーイが二冠を達成するかどうかに注目が集まる事になるだろうと思われた。しかし、肝心のプレシャスボーイが荒鷲賞を前にＣ級戦で４着、６着と惨敗。これにより、プレシャスボーイの圧勝ムードから一転、荒鷲賞はプレシャスボーイを含めた「３強対決」の様相を呈していた。残る２強とは、トサノキュータとハナサキボタン。トサノキュータは、昨年の２歳チャンピオン決定戦「銀の鞍賞」でプレシャスボーイと接戦の末２着になった馬だ。南国優駿では完敗したが、その後条件戦を３連勝した上に荒鷲賞トライアルを快勝し、今までで一番の勢いをもって最後の１冠に挑んできた。一方のハナサキボタンは道営デビュー馬。銀の鞍賞当日の第１レースで快勝しているが、この時の２着馬がマンペイ記念馬のチュウオーブラックである。他地区からの転入馬のため、マンペイ記念と南国優駿は規定により出走できず、この荒鷲賞で念願の重賞出走を果たす事になった。自身、現在Ｃ級戦を３連勝と波に乗っており、ようやく訪れた大舞台で大暴れしそうな予感である。馬券はこの３頭の組み合わせが圧倒的に売れており、他の馬はやはり一枚格が落ちるイメージがある。 いつ雨が再び降ってくるかとヒヤヒヤものであるが、とりあえず天気はまだもっており、うっすらと青空すらうかがえるほどだ。つい４０分ほど前までの大雨がウソのようである。何とかこのまま、と願わずにいられない。荒鷲賞は出走８頭で、トサノキュータが１番、プレシャスボーイが７番、ハナサキボタンが８番である。 ３頭の人気馬とも、前回高知に訪れた時以来の対面となる。特に思ったのが、各馬の馬体の成長振りである。トサノキュータは、銀の鞍賞の時は華奢な馬に思えたのだが、今では見違えるように立派になり重厚な体に変貌している。多少毛ヅヤが冴えないものの、何をさておき「大きくなったなぁ」というのが印象である。しかし、それ以上なのがプレシャスボーイ。同様に２歳時とは比べ物にならないくらいパワーアップしている。まずはブリンカーがなくなっており、しかも周回は二人引きながら落ち着きを払い堂々としたもの。終始厩務員さんに甘えっぱなしだった銀の鞍賞の時とはだいぶ異なる。毛ヅヤも良好で、やっぱりトサノキュータよりも迫力では一枚上なのは同じである。ここを勝って、すっきりと福山の全日本アラブグランプリに向かってほしいところだが。ハナサキボタンは、前回はレースしか見ていなかったので馬体の成長云々はピンと来なかったが、胴の詰まった体型で後肢が目立ち、スピードがありそうな感じがする。どの馬も好気配、ただ見た目ではプレシャスボーイがやや優勢に思えた。   （プレシャスボーイ(左)とトサノキュータ(右)、因縁の対決、再び。） ゴール前付近で、荒鷲賞出走各馬の返し馬の様子を見ていると、頭上から拍手が聞こえてきた。見上げると、来賓室の辺りから盛大な拍手が聞こえてくる。おそらくはファン賞の表彰式が行なわれているのだろう。ゴール前のカメラ組一同、「やってるやってる^^」とニヤニヤ。そうこうしているうちに発走時刻を迎えた。年に６回しか聞くことのできない高知競馬場アラブ重賞ファンファーレが鳴り響き、向こう正面でゲート入りが始まった。距離は１９００ｍである。 スタートはほぼ一線。人気各馬はいずれも好スタートで、我先にと先頭に取り付いてゆく。プレシャスボーイ、トサノキュータ、ハナサキボタン、ミシマダイドウやフトーキサなど、前は一団。最初のスタンド前に来る頃にはとりあえず先行争いは落ち着き、「逃げ馬」フトーキサが先頭に代わっていた。ミシマダイドウが２番手で、プレシャスボーイは３番手を追走している。これをピッタリマークしてハナサキボタンが追走し、トサノキュータは一旦先行馬群からは身を引いての５番手追走。向こう正面から３コーナーにかけての地点でプレシャスボーイが動き、たまらずフトーキサは後退。ハナサキボタンは一旦は置かれたものの、３コーナーでは再びプレシャスボーイに追いすがる。トサノキュータは動かず中団からやや前といった位置をキープしつつ、徐々に内から上昇。プレシャスボーイ、ハナサキボタンが並んだ状態で４コーナー、気が付けば内からトサノキュータも並びかけてきていた。  （１周目。フトーキサがレースを引っ張ります。） 直線で３頭がバラけ、コーナーワークでトサノキュータが先頭に。しかし、引き離されたハナサキボタンとプレシャスボーイはそのまま動く事ができない。手応えがいいのはトサノキュータだけ。ぐんぐん加速して、後の２頭を突き放す。一方、プレシャスボーイが全く伸びない。ハナサキボタンももう一つ伸びないが、プレシャスボーイはハナサキボタンを交わせそうに無く単独３番手。ハナサキボタンも一瞬トサノキュータと競り合いになるかと思われたが、トサノキュータにあっさり下された感。トサノキュータ、完全に抜け出して優勝ゴールイン。２着ハナサキボタン、３着プレシャスボーイと、とりあえず人気３頭が上位を独占する結果にはなった。  （ゴール直前。トサノキュータの完勝でした。） プレシャスボーイはやはりＣ級戦２連敗に見られるように、調子を欠いていたのかも知れない。一方、ハナサキボタンはプレシャスボーイにこだわりすぎ、自分のレースをできなかったのではないか、というのが現場での意見の大勢を占めた。トサノキュータは上手く前半の激しい先行争いから身を引いて、じっくりと仕掛けるタイミングを計った事が勝因であろう。また、もりもさんによると、普段は伸びない馬場の内目が今日は不良馬場のために差がなくなっているとの事で、馬場も味方していたと言う事にもなるか。いずれにせよ、トサノキュータは５連勝での重賞制覇となった。お見事。  （口取り。革靴に不良馬場はキツかったです（謎）） お目当てのレースも全て終了。再び来賓席に戻り、最終レースを観戦後引き上げとなった。オフ会組とお帰り組、とりあえず一緒に１階までエレベーターで降りて雑談していると、高知競馬公式ＨＰ「ＲＹＯＭＡ ＤＥＲＢＹ」のウェブマスター、馬場管さんが登場。「これに懲りずに（笑）、また高知競馬へ遊びに来て下さいね。」とご挨拶。「見透かされてますな〜」とは、”福山駐在員”おさるさんの言。思わず苦笑。 高知到着時はとんでもない天気で一事はどうなることかと思ったが、最後は天候も回復し、高知競馬場を後にするときには夕日が差し込むほどであった。めったにできない体験と好レースを目にする事ができ、とても充実した気分で高知を後にした私であった。 |